長野県内における取り組み

須高地域で取り組んでいる「地域医療福祉ネットワーク推進事業」について

須高地域(須坂市・小布施町・高山村)が将来に向けて安心安全を支える地域に発展するため、広域の共通課題を解決するために、2010年4月に須高地域医療福祉ネットワーク推進室を設置した。同年8月には「須高地域医療福祉推進協議会」を設置して様々な事業に取り組んでいる。

その一環として、医療・福祉施設栄養関係職員連絡会の開催や歯科医師による口腔ケア研修などの食支援について報告する。

食支援に関する須高地域の課題

  • 24年10月に連絡会がスタートした。参加施設は、16施設
  • それぞれの施設の現状や課題を出す。

・それぞれの施設の嚥下調剤食がわからない。
・言語聴覚士などがいない施設では、嚥下障害のある方への対応について知識技術がない。
・入退院時にあたって、病院は、施設ではどんな食事だったか知りたい。施設は、退院してくる時の食事形態が入院前と変わっているのでどのようにしたらよいか困る時がある。

課題解決のための具体的取組

  • 職員のスキルアップとして研修会を開催
  • 各施設の食形態を把握するために、食形態一覧を作成
  • 平成27年から栄養サマリーの作成に取り組む。
  • 施設ごとに呼び方や調整食の段階もバラバラであるため、退院の際、食事の指示を出すときに施設の状況がわかるものを作りましょうということになった。
  • 作成にあたっては、信州医療センターの栄養科長さんを中心に行った。信州医療センターでもちょうど調整食の見直しがされるという時期で、嚥下学会の分類をもとに病院の食形態を基準に各施設の食事をあてはめて一覧を作成した。
  • 一覧はネットワーク推進室で作成している。連絡会の開催に合わせて変更点を確認して、情報の更新をしている。

関係者のスキルアップ

嚥下障害のある方への対応研修会開催(講師:信州医療センターの言語聴覚士)
歯科医師による口腔ケア研修会開催
施設職員を対象にした研修会を開催

成果と課題

  •  現在食形態一覧は須高地域の施設間での利用になっているが、他の地域のものもあると良い。
  •  食事介助の方が多いと施設では職員の不足や対応に時間がかかってしまう。
  •  退院後の嚥下機能の評価システムが無いので、再入院されるケースがなくならない。
  •  嚥下機能の維持のため元気なときから「口腔体操」を行うことや外食や家人と食事をすることの大切さの普及が必要