長野県内における取り組み

取り組みについて

要介護高齢者の日常生活における関心事(施設などで楽しいこと)についての調査では、美味しく食事をとることが1番の楽しみという報告をうけ、施設等入所者が認知機能や摂食・嚥下機能の低下により食事の経口摂取が困難になっても、自分の口から食べる楽しみを得られるようQOLの向上の為、多職種連携による支援の充実を図ろうと、市民向け講演会(2017年2月信州大学医学部歯科口腔外科栗田浩教授)を開催し、多職種の関係団体等に呼びかけ、同年5月に医師会・薬剤師会・歯科医師会・信州大学医学部・市立大町総合病院・地域包括医療協議会・行政や保健所等の関係機関及びモデル施設となる介護老人施設の参画により、「口腔と食機能支援推進協議会:食活研究会」を設立しました。

 基本コンセプトとして極力介護現場とのラポールを形成しつつ、介護職員の負担を少なくして、モデル施設以外の施設等にも必要性と重要性を理解して頂くため情報共有を図り、地域包括ケアシステムにおける医療提供体制を確立すべく、啓発活動や研修会の実施並びに問題点の整理と効果の検証を行う事としました。

活動内容

 介入にあたって、要介護者及びご家族等の同意の下、介護現場職員への研修会と、日常での介護現場での食機能の低下を発見する為、介護職員がチェックしやすい簡単な「口腔・食機能チェックシート」を制作・活用し、スクリーニングにより歯と口腔機能検査と歯科医師も含めてのミールラウンド及び口腔機能の向上維持のための多職種による食事形態・食事環境・食事介助等の会議並びに指導を行いました。

 ミールラウンド実施にあたっては、「食活サマリ」を新たに導入し「メルタス」による施設内多職種間での情報共有と、食事観察サポートソフト「い~とみる」を活用し、客観的判断と改善点などを多職種連携会議にて検討することにより、緊急性のある歯科訪問診療の依頼や総合病院歯科口腔外科への紹介と、それぞれの職種で行われていた業務情報などを施設内やかかりつけ医とも共有できたことで、食支援の一助となりました。

活動成果

 食活研究会の活動成果として、誤嚥性肺炎による入院が激減 (※早期発見治療)し、インフルエンザ発症0名・後方支援病院としての研修や設備の充実並びに胃瘻実施減少、 施設職員間の情報共有・連携体制が充実しました。住民やモデル施設以外の関連施設などにもシンポジュームでの情報提供も実施し、新聞・TVなどでも報道されました。また、長野県 地域医療介護総合確保基金事業補助金により、介護施設に訪問して指導研修会なども実施することが出来ました。

 最後までご自分のお口で食べられるよう、食活研究会として多職種連携で支援していきたいと願っています。

介入の進め方

  • 多職種会議(情報交換)
  • 口腔機能検診

口腔機能測定(超高齢者健診指導用紙準拠)
開口量 咬合状態
舌突出度
口腔乾燥度(ムーカス)
舌唇機能測定

  • ミールラウンド

歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士、看護師、介護士、理学療法士、作業療法士

  • 多職種会議

歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士、看護師、介護士、理学療法士、作業療法士

  • 歯科訪問診療

内科相談・受診
後方支援病院への情報提供